知 事 答 弁

 二−2 鳥取県人権救済手続条例について 

 今回条例案として提出しております人権救済委員会に関する質問でありますが、9月議
会でいろんな指摘があったことを今回の条例案にはどういうふうに反映させているのかとい
うことですが、1つ、例えば委員会の独立性、公平成についてどう担保するのかという議論
がありましたが、これについては、委員の選任や解任に当たって議会の同意を求めるとい
うそういう選任同意制度を新たに導入しようとしております。これもよろしく御審議をいただ
ければと思います。

 権力の監視強化について、一つの権力になるのではないかということで、その監視強化
ということでありますが、これもいろんなものが条例案の中に盛り込まれておりますが、例
えば委員会の措置概要、委員会の活動状況などを議会にきちんと報告をして、県民の代
表である議員の皆さんにチェックをしていただく。もしそれが条例の主旨どおりになってい
ないとか、行き過ぎだとかということがありましたら、それは率直に議会の方から御指摘を
いただいて、その後の委員会の運営に反映をさせるということになるだろうと思います。

 それは、例の男女共同参画推進条例に基づいてできました推進委員の皆さんの活動に
ついて議会から異論反論が出て、それを踏まえて是正もしたり、その後のチェックシステム、
すなわち議会に報告するというような制度的改革も行いましたけれども、そういう例にならっ
たものであります。

 ほかにもいろいろありますが、条例案を見ていただければと思います。

 特区を申請しているかどうかということですが、特区というのは、現行の地方自治法では、
独立性の強い首長(県の場合ですから知事)から独立した委員会として、この種のものを
形成できないという制約があります。独立して執行機関として機能できるのは、例えば法律
上決まっている公安委員会とか人事委員会とか、教育委員会とか地方労働委員会とかそ
ういうものでありまして、それ以外のものは独立行政委員会としては構成できないようになっ
ております。したがって、どういう法的な立場に立つのかというと、諮問機関のようなことに
なってしまうわけです。審議会などと同じようになってしまうわけです。

 それだと独立性が弱いのではないかということで、できれば特区を認めてもらって、鳥取
県の場合には人権救済委員会も独立行政委員会として位置づけられるようにしたいという
ことで特区申請をしているわけであります。

 これが認められるかどうかということでありますが、これもわかりません。わかりませんと
いうのは、今特区を認めることについて政府はすごく消極的になりました。小泉内閣の鳴り
物入りで特区制度はできたのでありまして、最初のころはすごく打率はよかったのです。打
率といいますのが、申請をして認められるのがよかったのです。だんだんだんだん回を重
ねるごとに打率は下がってきまして、今1割台であります。

 私はこの間、総理主催の全国知事会が首相官邸であったものですから、全国知事会の
方で本当は三位一体改革について総理に申し上げようと思ったのですが、そのときは表現
の穏やかな人が三位一体改革については発言をしようということになりまして、私の場合は
ちょっと違ったことを申し上げるということで、特区の話を総理に申し上げました。非常に打
率が下がって、今1割台なので、こんな1割打者というのはお払い箱になりますよという話
を申し上げたところであります。そうしますと、やっぱり総理の方もきちんと受けとめていた
だいたようでありまして、事務当局には何らかの指示をしていただいたようなので、従来よ
りは少し変わるのかなと思っておりますが、私もまた担当の責任者の方に直接お会いをし
て申し上げようと思っておりますけれども、ぜひ実現をしたい、承認をしてもらいたいと思っ
ております。

 人権救済手続条例が成立をしたとして、さらにその後、国の方が今まで出したり引っ込め
たりしている人権保護法案が成立したときに、両者の関係はどうなるのかということであり
ますが、国の方の法律がどうなるかによって対応は違ってきます。例えば法律の内容いか
んによりますけれども、場合によっては本県の条例は全く不要になるかもしれません。場合
によっては法の補完的機能といいますか、法が網羅していないところを県として必要がある
ということで合意が得られれば、それを補完的に条例に書いて残すということもあるかもし
れません。法律が全然機能しないので、それならば一種対抗的措置として条例を位置づけ
るということもあるかもしれません。

 もう1つは、この条例は失効条項というのを置いておりまして、3年だったと思いますが、
そのときに延長等の措置がなければ効力を失うということにしております。これは最近の本
県の条例立法上の一つの原則にしておりますけれども。この条例だけではないのですけれ
ども。ということで、その時点で何も延長手続がなされなければ、なくなっているかもしれな
い。こういうこともあります。

 いずれにしても、条例のことでありますから、議会にご相談をして、議会で議論した上で判
断をしていただくということになろうかと思います。

 人権救済委員会の委員や相談員の人選などについてどう考えているかということでありま
すが、今執行部で考えておりますことを人権局長の方から御答弁申し上げます。

 その中で、弁護士の問題はどうかということでありますが、条例案には弁護士を必要条件
として書いておりませんけれども、私は、やはり事が事でありますので、法律関係に明るい
人、それはすなわち法曹、わけても弁護士の活用、弁護士の皆さんを活用させていただく
ということは大変重要なことだろうと思っております。

 ただ、その際には本県は弁護士の数が少ないのです。今23人だったでしょうか、24人
だったでしょうか、非常に少ないので、弁護士の数が増えなければいけないということで、
別途、例えば日弁連と協力をして、鳥取県に弁護しが来やすいように、県としても予算措置
をしたりしておりますけれども、そういう努力もあわせてしたいと思いますし、今次の司法改
革の中で、法曹、弁護士が増えるということを期待しているところであります。

 県庁自体が人権侵害した場合の調査などどうするのか、公平さが保たれるのかというこ
とでありますが、これは一つの重要なポイントで、そのご指摘であります。

 これについては、1つは先ほどの特区を実現させて、より独立性の強い、長から独立した
事務が行えるような立場にしたいということで、その努力を今しているところであります。そ
れが認められるまで、ないし認められなかった場合どうするのかということは、現実的な対
応をしなければいけませんので、それについても一定の配慮をしているところでありますが、
その内容については、人権局長から御答弁を申し上げます。

 国の方の人権擁護委員連合会への助成金を打ち切ったことと、私が9がつ県議会で浜
田議員のご質問に答えて高齢の方が多いのでハッパをかけるのは控えていると言ったこと
とを取り上げられて、両者が特定の意図から出ている予算措置であり、かつ発言ではない
かというこういうご質問ではないかと思いますが、実は私は、助成金打ち切りというのは今
回のご質問をいただいて初めて知ったのであります。副知事に聞いてみましたけれども、
副知事も知りませんでした。やっぱり膨大な予算でありますから、全部を私は副知事が知っ
ているわけではないのです。

 これらも実は議会の同意を得て予算ができているわけでございます。議会でも、恐らく常
任委員会などで説明を申し上げるものと、はしょるものがあるのだろうと思うのです。これが
どういう説明をしたのか、どの程度したのか、しなかったのか、よく判然としませんけれども、
こんなこともありますので、もし常任委員会などで無意識のうちにこれが通過していたとす
れば、こういうこともありますので、常任委員会における予算審議とか決算審査などを、こ
れまで以上に時間もかけていただいて、ぜひ念入りにしていただければありがたいという、
これはお願いであります。

 浜田議員のご質問に対して私がお答えしたのは、実は私の答弁だけをとりだすと、何か
えらい冷たい、高齢者に対してすごい冷たい答弁だというふうに思われるかもしれませんが、
前段の質問が「人権擁護委員は何をしているのか見えてこないとの意見も多くあるというふ
に耳にしています。見えるようにしてほしいと県から要求されたことがあるのでしょうか。少し
怒ってもいいのではないか」というのがご質問であります。それに対して私が、私がハッパ
をかける立場にはありません。国が任命されているものですから。時々お会いしますけれど
も、結構ご高齢の方もおられて、その方々に怒れとか言われても、ちょっと私は躊躇します
ということを申し上げたのでありまして、それだけのことであります。自分が任命もしていな
い人を、もっと働けとかと言って怒るというのは、私はちょっとやりませんのでということを申
し上げただけであります。これも誤解のないようにお願いします。

 したがって、何か人権擁護委員会に対して非常に冷たく当たるとかそういう意図のもとに
助成金も切ったり、議会での答弁をしたということは毛頭ありませんので、これも誤解のな
いようにしていただきたいと思います。

 ただ、なぜ切ったのかという御質問をたぶん県の職員に安田議員の方からされたのだろ
うと思います。その間、若干やりとりがあったかもしれませんが、どういう意図で予算に計
上していないかということについては、人権局長の方から御答弁を申し上げたいと思います
が、彼自身もそのときに当事者ではありませんので、そういうことを前提にしてお聞き取り
いただければと思います。



  
人 権 局 長 答 弁

 3点についてお答えいたします。
 まず1点目、人権救済推進委員会委員や相談員の人選確保についてのお尋ねでござい
ますけれども、本県委員会が取り扱います人権問題は大変幅広く、その委員、相談員には
慎重で公平、公正な手続と判断が求められるという点から、委員につきましては人格が高
潔で幅広い人権問題に関して高い見識と豊かな経験を有する、こういう方を議会の同意を
得て選任、任命していきたいというふうに考えております。

 また、実際の相談や調査に当たります相談員、職員につきましては、専門知識と熱意の
ある人を、公募というような方法も含めまして、幅広い方法で確保していきたいと考えており
ます。

 2点目ですけれども、県の機関自体が人権侵害をした場合の調査について、どのように
公平、公正を確保するのかというお尋ねでございます。

 これにつきましては、2つ考えております。1つは、この条例の中にもありますけれども、
県の機関が人権侵害を行った場合については、その対応、措置状況でありますとか、勧告
の内容でありますとか、そういうようなものを他のものに比べてより一層詳しく議会に報告し
て、厳正にチェックをしていただくことで1点確保したいというふうに考えておりますし、もう1
点は、これも条例に掲げておりますけれども、そういう場合には、調査に当たる県の正職
員は、その調査から外れるというふうに規定を設けております。具体でいいますと、13条に
委員の除斥という規定を置いておりまして、委員会の委員が当事者、被害者あるいは加害
者と直接の利害関係があったりするときなどには、その審理から外れるという規定を設け
ております。これを事務局の相談員、調査員等にも準用するようにしておりますので、それ
でもう1つの方法を確保するところでございます。

 3点目、県に人権擁護委員連合会に対する補助金の廃止のいきさつでございますけれど
も、この補助金につきましては、昭和53年に新しく始まったようでございまして、その当時、
県の組織としては、人権を広く啓発するような組織がなかったものですから、国のそういう
機関にお願いしたのではないかなというふうに推察しております。

 その後、県の組織におきましても、平成14年度に人権局を整備する等そういう体制も整っ
てきたことから、廃止のお話をしたのではないかなというふうに考えております。そのときに、
議員が言われましたようなニュアンスも若干あったかに聞いておりまして、大変申し訳なく
思っております。

 法務局、人権擁護委員連合会とは今までも連携を密にとってきておりまして、明日から始
まります人権週間におきましても、さまざまな啓発活動を連携して行うようにしているところ
でございます。今後も今まで以上に連携を図っていきたいと考えております。




                                      安田優子質問へ




        ページのトップへ | 質問項目へもどる | 次の答弁へ